社会保険の壁は「106万円」と「130万円」の2種類

パートで働く方がよく聞く「年収の壁」には、大きく分けて税金の壁と社会保険の壁があります。2025年の税制改正で所得税の壁は123万円になりましたが、社会保険の壁は改正されていません。

社会保険(健康保険・厚生年金)の壁には次の2種類があります。

壁の種類対象超えると
106万円の壁従業員51人以上の企業に勤務・週20時間以上など勤務先の社会保険に加入義務(保険料が発生)
130万円の壁すべての勤務先配偶者の扶養から外れ、自分で保険料を払う

「106万円の壁」は特定の条件を満たす人だけに関係しますが、「130万円の壁」はパートで働くほぼ全員に関係します。それぞれ詳しく見ていきましょう。

「106万円の壁」の仕組みと加入条件

「106万円の壁」とは、月収換算で約8.8万円(年収約106万円)以上になると、勤務先の社会保険に加入する義務が生じる基準のことです。ただし、この壁が関係するのは、以下の条件をすべて満たす人に限られます。

106万円の壁の加入要件(現行・2026年2月時点)
① 従業員51人以上の企業に勤務
② 週の所定労働時間が20時間以上
③ 月額賃金が8.8万円以上(年収約106万円)
④ 雇用見込みが2か月超
⑤ 学生でない
→ すべて該当する場合に社会保険の加入義務が発生

コンビニや飲食店のような従業員数が少ない職場では、年収が106万円を超えても関係ありません。また、月収が8.8万円に届かない場合も対象外です。

逆に言えば、大きなスーパーや病院などで週20時間以上働いていると、年収106万円を超えた時点でこの壁に当たる可能性があります。

「130万円の壁」の仕組みと注意点

「130万円の壁」は、配偶者の扶養(第3号被保険者)から外れる基準です。年収が130万円を超えると、自分で国民健康保険と国民年金に加入する必要があります。

ただし、「130万円」は月収ベースで見られることが多く、月108,334円(130万÷12)を超える状態が続くと扶養から外れる可能性があります。一時的な収入増(繁忙期のシフト増など)の場合は、勤務先の証明書で扶養が継続できる特例もあります。

注意
130万円の判定は「1月〜12月の年収合計」ではなく、「今後12か月の見込み収入」で判断されます。月収が増えたタイミングで保険者(健保組合や協会けんぽ)から確認が入ることがあります。

社会保険に加入すると手取りはいくら減るか

社会保険料は、健康保険と厚生年金を合わせておおむね年収の約14〜15%が本人負担になります(勤務先が同額を折半)。

年収社会保険料(概算)手取りへの影響
110万円約15.6万円/年手取りが加入前より少なくなりやすい
130万円約18.4万円/年ほぼ元の手取りに近づく
150万円約21.2万円/年手取りが加入前より増え始める

つまり、「106万円の壁を少し超えたくらい」だと、社会保険料の負担で手取りが減ってしまう「逆転現象」が起きやすい状態になります。一般的に年収150〜160万円以上になると手取りベースで壁を超えた方が得になってくると言われています。

2026年改正で何が変わるのか

2025年6月13日、「年金制度改正法」が成立しました。これにより、社会保険の加入要件が段階的に見直されます。

改正内容時期
月額8.8万円の賃金要件を撤廃(106万円の壁がなくなる)早ければ2026年中〜遅くとも2028年6月
企業規模要件(51人以上)を段階的に撤廃2027年10月〜2035年10月
改正後のポイント
賃金要件が撤廃されると、週20時間以上働けば企業規模や月収にかかわらず社会保険の対象になっていきます。「106万円に抑えれば大丈夫」という考え方が通じなくなる可能性があります。

企業規模要件については段階的な撤廃のため、今すぐ全員に影響するわけではありません。自分の勤務先が対象になるタイミングを確認しておくと良いでしょう。

なお、「130万円の壁」はこの改正の対象外です。130万円を超えると配偶者の扶養を外れるというルール自体は変わりません。

今の自分はどう考えればいいか

現時点(2026年2月)では、106万円の壁の賃金要件撤廃はまだ施行されていません。ただし、近く変わる可能性が高いため、以下のように整理して考えると良いでしょう。

状況別の考え方
51人未満の企業で働いている:当面は106万円の壁の影響なし。130万円に注意。

51人以上の企業・週20時間以上:106万円を超えると現行ルールで社会保険加入の可能性あり。年収150万超を目指すか、20時間未満で調整するかを検討。

収入を増やしたい:150〜160万円以上になれば手取りで元が取れる帯に入る。改正後はさらにシフトが増やしやすくなる見込み。

社会保険に加入すること自体は将来の厚生年金が増えるというメリットもあります。短期の手取り減だけでなく、老後の保障も考えたうえで判断するのが理想的です。

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